もっともっと、と 求める
異常だとわかっている。
自分が組み敷いているのは、まだ子ども。
幼い、子ども。
これを世間では性的虐待というし、近親姦という。
一説では兄弟の間の近親姦は、不完全な家族の絆を強める作用があるらしい。
それならば、この行為の意味は烏森に裂かれた兄弟の絆の修復だろうか。
何度もその問いが頭を掠めるが、それだけでこんなに欲情するものか、という結論に達する。
それは言い訳、もしくは逃げかも知れない。
愛情の末だという、言い訳。
細くて傷だらけで、まだ正守より一回りも二回りも小さなからだ。
正守がこんなことをしなければ、まだ無垢でいられたカラダ。
それが、正守に突き上げられる毎に短い声を上げている。
その事実は正守に優越感と、充足感と、罪悪感という矛盾した感情を起こさせる。
いつものことだけれど。
声が段々抑えきれなくなり、大きくなっている様子を見てそろそろかな、と思っていると両手を伸ばされる
。
眉を顰めて、必死なその顔に堪らず正守はその手を自分の首に導いてやり、抱きしめた。
耳に直に吹き込まれるような喘ぎは、限界を示しているようで正守の動きも激しくなる。
何度目かで、締め付けがきつくなり、腹に熱いモノが吐き出された。
その直ぐ後に、正守が挿れたまま吐き出す。
体内に出された方が熱く感じるのだろうか、耳元では激しい呼吸と共にうめき声が聞こえた。
それを宥めるように正守が背を撫でてやれば、逆効果だったのかぶるり、と震えた。
名を呼んでやれば、抱きつく力が強くなる。
足りない、と思った。
まだ、足りない。もっと欲しい。
正守がそう思ったとき、何かが聞こえた。
「え?」
「まさ、もり」
どくん、と珍しく心臓が鳴った。
頭がヒートしそうになるくらい、全身が熱くなった。
一緒に、達したばかりの下半身も一気に体積を増してしまった。
「ちょっ」
それに驚いたのか、離れられそうになったのを力を込めて防ぐ。
骨が軋むくらい抱きしめた。
苦しいだろうに、文句は言われない。
「良守」
ずっと、呼ばれたかった。
彼の兄という存在は自分しかいない。
だから当然彼の言う「兄貴」は、正守のこと以外ありえない。
だから「兄貴」と呼ばれるのは好きだし、それこそバカだろうがクソだろうが、ついていたって嬉しい。
その単語が示すのは、正守しかいないからだ。
けれど、熱を交わしている時に呼ばれるのは、複雑だった。
熱に浮かされて自分を連呼する弟を愛しいと思いながら、それはやはり「近親姦」にしかすぎないと言われ
ているようで。
「ん、だよ…」
「もう一回していい?」
「……嫌だって言っても…」
「うん、する。だって、ね」
大きくなっちゃったし、と囁いて怒鳴られる前に軽くその躯を揺らす。
一度達した躯にはそれすら刺激が過ぎたのか、背が仰け反り布団に落ちそうになるのを片手で支える。
「あ、急にっ」
「良守」
「ん、なっんだよ」
「良守」
「だかっらっ」
一々呼びかけに応えてくる弟が愛しかった。
ただ呼びたいだけなんだけどな、と思いながらもう一度聞きたくて突き上げを少しずつ強くする。
「呼んでよ」
「な、ぁっん、な、にっ」
「俺の名前、呼んで」
「……ゃ、だっ」
「さっき、呼んでくれたのに」
拗ねたフリをして、奥へ刺すように突くと悲鳴のような喘ぎが漏れる。
幼い躯はまだ強い刺激が苦手なのを知っていながらの仕打ちは、ただ名を呼ばれたいが為。
「あっい、ヤダ、いやだっ」
「呼んで」
「…っまさっまさもりっ、正守っ」
首を振りながら強すぎる快感に耐える弟の口からでた自分の名に、正守はうっとりとする。
ずっと、呼ばれたかった。
呼んで欲しかった。
「あ、まさもりっも、やめっ」
「ん?もうイク?」
「ちがっ」
「いいよ」
違う、と言っているのを無視して突き上げの間隔を狭くし、小さなペニスも扱いてやる。
もう意味のある言葉を発することの出来ない弟の口を塞いで、一際強く突くと内壁がきゅう、と狭り、正守
の腹に熱い精液で濡らす。
弟のうめき声は正守が飲み込んだ。
そのまま正守も、二度目の吐精をした。
キツかったのか、疲れたのか、弟はそのまま眠るように気を失う。
正良は後孔から自身を抜くとそっと布団に寝かせた。
ずっと、呼ばれたかった。
呼んで貰えた。
他人から見れば異常で、犯罪であるこの行為。
それでも、名前を呼ばれただけでこんなにも救われる。満たされる。
兄弟であろうと、子どもであろうと、そんなことどうでもいい。
自分が持つ感情が兄弟愛でも恋情でも、執着でも、どれでもいい。
ただ、もう手放せない。
それだけが全てだった。
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正良初エロです。
難しいのは二人の関係性がまだ上手く考えられてないからです。
ので、このお題で練習です。
色々チャレンジします。
この話は、本当はもっと、黒くて痛い話だったんですが…。
兄はどうしても暴走してくれます。
やっぱり黒いまっさんは書けないのかなぁ…。
今回の無駄な課題。
「本文に「良守」を出さない。」
ホント無駄なチャレンジです。
07/06/22