シロップ
苦しい、と背中を叩いても中々離れてくれない兄のせいで良守は苦しくて堪らない。
息がしにくい上に、やっとした呼吸まで奪われる。
だから、酸欠になるのに、分厚くて熱いそれに掻き乱されてしまったらなにも考えられない。
ただ兄が満足して離れるまで。
背中を叩いていた手で、ぎゅっと兄の着物を掴んだ良守をやっと兄が解放してくれるまで。
「は、…」
「ヘタだね、良守は」
くく、と笑う兄にむかっと良守は腹が立つ。
こんなキスにヘタも上手もあるか。
ただ貪っているだけじゃないか。俺は貪られてるだけじゃんか。
そんな思いで睨むと、兄はまたくく、と笑う。
「そんな顔してもお前が悪いの」
「はあ?」
「おまえってどこもかしこも甘いけど。唾液が一番甘い」
俺が甘いもの好きって知ってるだろう?
そう言って笑った兄に呆気にとられている間に、また良守は甘いという唾液を思う存分すすられることになった。
-------------------------------------------------------
ちゅー
08/04/29
|