もらいもの
ハートのクッションを、兄貴から貰った。
土産だと渡されたものは真っ赤で大きなハート型のクッションで。
兄貴曰く、抱きしめて寝ると安眠できるかもしれないくらい気持ちが良いクッションだそうで。
けれど、その形にしなくても…と思うのだけれど、にやりと笑う兄貴に確信犯だとわかった。趣味わるすぎなやつだ。
利守には小さな犬の形のクッションだった。それはそれで男の子に…とは思ったけれど利守は喜んだ。
俺のクッションの形と大きさは。
何故か家族の誰も突っ込まなかった。なぜだ。
そんな訳で完全な和室の俺の万年床に置かれた真っ赤なクッション。
ビーズクッションとか言うやつだそうで、確かに気持ちが良い。
ぼふ、と顔からそれにつっぷす。
ひんやりとした感触が気持ちが良くて、中のビーズが動く音も何故だか耳に心地良い。
ハート、っていう形もそれでナシにできるくらい気に入った。
あまりの気持ちよさに、布団も掛けること忘れてそのまま寝入ってしまうくらいに。
かしゃ、かしゃ。
そんな音がして、目が覚める。
ハートのクッションを枕にして寝たせいか、普段の枕よりも少し首が底に沈んでしまったらしく肩が凝ったなぁ、と怠げに起きあがる。
その瞬間、またかしゃ、という音と共に兄貴の顔が。
「うがっ!?」
「なにその声」
「なに、なんだよ、携帯でなにしてっ」
「写メ」
「写メ……なにを」
「お前の寝姿と、起きた所」
にへら、そんな音がしそうなくらい兄貴の顔がゆるんだ。
普段、きりっとしていて21歳には思えない(老けてるくらい)の貫禄とか切れの良さとか。
地響きが聞こえてきそうなくらいの、怒ったときの迫力とか。
えっちしてるときの、余裕がないけどちょっと幸せそうで嬉しそうでそんでもって気持ちよさそうなのとか。
好きな顔も全部ふっとぶくらい、見てられない顔になって。
「やっぱそれを選んで良かったよ。良守に似合うだろうなぁって思って。あーもうホントお前やらしすぎ。それ使って今日えっちしような。あ、それ汚れたらちゃんと洗ってやるから気にしないで思う存分汚せよ?きっと赤に白が映えて綺麗だろうなぁ…」
みるみるだらしなくて、ヤラシイ顔になって、それはもうホントどこぞの変態オヤジのようになっていく兄貴に俺の頭の血が上る。
怒りと、恥ずかしさで半泣きになりながらも結界で兄貴を俺の部屋から追い出した。
こんな兄貴。もーやだ。
--------------------------------------------------------------
そう言いながらも、兄貴に貰ったクッションに抱きついてくすんと鼻を啜る良守。んでもって何がなんだかわかってない兄貴←天然でデリカシーがないといいかもしれないです。
2007/11/30
なくしていたと思っていたものです(クッションのプレゼントはなくしたと思っていたので、クリスマス話に入れてたりします)
|