しっぽの返事







「明日には帰るよ」

夕飯時にそういった俺の横で、良守に生えているしっぽがだらりと垂れ下がった。
ああ、おもしろい。








「ごっそーさま」

すねたような声はいつも通り。
普段から素直じゃないと思ってはいたが、本当にすねていたことがかわいくてうれしい。
仕事の時間まで仮眠をとるであろう弟のあとを不自然にならない程度に間を開けて追った。
ふすまを開けると結界のなかで眠る弟。
まるでふて寝をしている犬みたい…と今は半分くらい犬なのか。

「良守」

呼びながら結界をさわると、どうやら俺除けもあるらしい。
でも、耳がぴくりと動いたので音は遮断されていないようだ。

「兄ちゃん、明日に帰るからさ、なんかお菓子作ってよ。持って帰るからさ」

良守の耳がこちらを向く。
本人は気づいていないのだろうけれど、良守は俺のことが気になって仕方がないのだと言うことを、俺は良守が犬化(というか犬系のあやかしと合体)してから知ることができた。
ああ、かわいい。

「ねぇ、また様子見にくるから、すねてないで、ね?」

そういうと良守はがばりと起きあがって。

「すねてねぇ!」

と叫ぶ。
それに俺がくすくす笑っているのに気づいてむっとした顔を作った。

「わ、笑うなっ」
「いや、ほら、おまえって、かわいいね」

その言葉に良守は一瞬ぽかんとして、真っ赤になって。
俺に向かって結界を作って、油断していた俺を吹っ飛ばしてくれた。
けれど、ほんの少しだけ見えたしっぽがうれしそうに揺れ始めていたのを見て、俺はまた笑った。












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とりあえずリハビリなのでこの程度で>(;^_^A アセアセ…
08/06/10

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