ポロメリア ずっとまえから計画をしていた。
一番重要だったのは、実行する日。
利守が生まれてからは暫く在中していた母も、この頃泊まりがけの仕事を増やしてきた。
父は家事と育児に追われて、小説を書く為に宵っ張りになっていた。
祖父は俺と良守に烏森を任せてから偶に泊まりがけの書道家の仕事をしだした。 つまり、感覚が鋭い母と祖父がいない、且つ父の仕事がせっぱ詰まっていないとき。
今日やっとそのチャンスを得た。
あとは利守が夜泣きをしないことを願うが、最近回数も減ってきたし大丈夫だろうと思う。 仕事を終えて、良守を風呂に入れ自室へ連れてきた。

「一緒に寝るの?」

少し前まではよく一緒に眠っていたから、久々に一緒に眠ることが嬉しいのだろう。
良守は眠たいながらも嬉しそうな顔をする。
これから良守にしようとしていることを考えると、その顔に罪悪感がわく。
それでも。
それでも、俺は。

良守が、ほしいんだ。








「にいちゃん、寝ないの?」
「うん、寝ないよ」
部屋の真ん中に敷かれた布団に座り、自分たちを囲う遮音結界を張ると良守が訝しげになる。
緊張に震える手を叱咤しながら、良守の方に手を遣ると、良守の身体がびくっと震えた。
「良守?」
「ごめんなさいっ」
唐突な謝罪に、目を剥く。
良守は下を向いて、何かに耐えるように震えた。

「なにが、ごめんなさい?」

「だって…おれが、今日駄目だったんでしょ?だから怒ってる…」

俺は普段、どれだけ良守にきつく当たっていたのか。
緊張した様子が、良守には怒っていると捉えられる程なのだ。
思わず歯軋りしそうになり、慌ててそれが良守に気付かれないうちに抱き寄せた。
歪んでいるだろう顔を見られたくない。

「ごめん、恐がらせて。怒ってないよ。良守は何も悪くない」
「ホント?」
「うん、ホント」

できるだけ優しく髪の毛を梳くと、良守の身体から力が抜ける。
それに自分の顔が元に戻るのを感じて、そっと身体を離した。

「にいちゃん、怒ってない?」
「怒ってないよ」
「じゃあ、なんで恐い顔したの?」
「…恐かった?」
「うん…」
「ごめんな」

そう言って、額に、頬に、唇に軽いキスを落とす。
すると良守が驚いた。

「なに、」
「好きだよってことだよ」
「今のが?」
「そう」

良守は驚いた顔のまま、目を大きく見開いた。

 

 

おれのこときらいじゃないの?

辿々しい口調で尋ねられた。
それにくすりと笑って、いつ俺がそんなこと言った?と訊くと考え込まれる。
考え込んでも一度も言ったことがないのだから、無駄だ。
思い出せるわけがない。

でも、と言いかけた口を塞いで小さな舌を絡め取る。
俺より高い体温のはずなのに、良守が熱いと言った。
どちらかが高い温度ならどちらかが冷たく感じるはず。
よくわからない現象に、こういうものかもしれないと思いながら音を立てながら良守の口の中をあさる。

「イヤか?」

顎に垂れた唾液を舐めながら尋ねると、好き、と言われた。

「俺が好き?キスが好き?」
「兄ちゃんが好き」
「キスは?」
「好き」

頬を赤くし、荒い吐息で良守は言う。
その答えに満足して微笑みながら頬にキスを落として、それから首筋まで態と唾液をなすりつけるように舌を押し付ける。
良守からは小さな喘ぎが聞こえてきて、自分の欲も刺激された。

「好きだよ、良守」
「ホントに?」
「ホントだ」

そう言うと良守はうるんだ瞳で嬉しそうに笑った。
ああ、もっと早くこうしていれば良かったのだと今更ながらに思った。

 

 

 

 


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中1兄貴とと6歳よっち。
子ども×子どもは大好きなので、次はえっちに持って行きたいです。
ってなわけで続く。

タイトル:Co/ccoの曲から。コッコの休止前の曲は正良っぽいです。
2007/09/05〜12

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