☆お礼ss久保時編ss☆ |
「やだって、久保ちゃん」 「やだじゃないだろ、時任」 抵抗する時任を久保田が壁に押しつける。 「こんなとこで…」 「ここじゃないとゆっくり出来ないでしょ」 「でも…やっぱイヤだ」 「我が儘は聞かないよ、時任?」 久保田が時任の上着にゆっくりと手を掛けた。 「やめろって…!」 「ほら、おとなしく脱ぎなさい」 「ッ久保ちゃん!」 「ほら、やっぱりここ破れてる」 「久保ちゃーん、上着無いと寒い。もーいーじゃんかそのくらい」 「ダーメ。ほっといたら時任絶対縫わないでしょ」 「そんなの、公務執行(つまりケンカ)してるんだし…」 …しょっちゅうじゃん、と言おうとしたとき時任達のクラスメイトが生徒会室のドアを開けた。 「時任〜数学の吉田が呼んでたぜ」 「え〜、マジ…。寒いし行きたくない」 寒いのが苦手な時任はかなり億劫がっている。 「俺の上着貸したげるから行きなね、時任」 「……帰ってくるまでに縫っとけよ」 「はいはい」 椅子に掛けてあった久保田の上着を取って、時任は職員室へ向かった。 生徒会室の中には久保田と桂木だけだった。 「ね、前から思ってたんだけど…」 時任が去って幾分かしてから桂木が口を開く。 「ん?何?、桂木ちゃん」 「わざとやってるでしょう」 それは桂木が例の時任と久保田の掛け合いに慣れた頃から聞きたかったことだっだ。 「時任は気付いてないみたいだけど、あたしには久保田君がわざわざ変な方向に展開させてるようにしか見えないのよね」 桂木の鋭い読みに久保田は少々驚いたが、すぐにポーカーフェイスに戻る。 おかげで桂木は気付かなっかたようだ。 「何で桂木ちゃんはそう思うのかな?」 桂木はそうねぇと考え込む。 彼女にしてみれば自分の目にそう映ったのであって、何でとかは考えたことがなっかったのだが。 いくら考えても『何でそう思ったか』は出てこない。 出てこないものはしょうがないので桂木は適当に言ってみることにした。 「…スキンシップにかこつけて、時任に久保田君がべたべたしたいとか…な訳ないわよね」 冗談だった。 桂木はただの冗談のつもりっだたのに。 「うーん桂木ちゃんはするどいねぇ」 と、難しい顔をした久保田に桂木は固まってしまった。 「時任は分かってくれないのになぁ…」 「久保田君…それって…あの…?」 何を言いたいのかも分からずに桂木がかすれた声を出したとき、時任が帰ってきた。 「久保ちゃん、上着出来た?ってあれ、桂木調子悪いのか?顔真っ青だぞ」 この場の雰囲気を壊してくれる救世主か、はたまた更に状況を悪くさせる小悪魔か…そんなことが桂木の頭によぎる。 「か−つーらーぎー?」 反応のなっかた桂木をいぶかしんで、時任が顔をのぞき込む。 「な、何でもないわよ!」 「心配してやってんのにかわいくねーやつ」 普段ならここで口喧嘩になるのだろうが、そこで久保田が入ってきた。 「吉田、なんだって?」 「プリント出してないの俺だけだっておこられた」 ぷうと頬を膨らませて久保田に言う時任の頭を久保田がよしよしと撫でる。 その表情が愛情に満ちているのに桂木は初めて気がついた。 「プリント今日持ってきたんじゃなかったっけ?」 「忘れた。――多分机の上」 「んじゃ、明日出せばいいデショ。あ、上着出来たよ」 「サンキュー久保ちゃん」 久保田に借りた上着を持ち主に返し、時任は自分の上着をはおる。 「それじゃ桂木ちゃん、俺達帰るね」 「じゃーな桂木!」 「バイバイ…」 「……聞かなきゃよかった……」 余計な検索をしたために心労を一つ増やしてしまった桂木ちゃんでした☆ ---------------------------------- 当初の予定より久保時の更新がとても少ないです…。 ごめんなさい…>< そしてこれは結構気に入っています☆ |