ヒゲと君の愛情 「なぁ久保ちゃん、ヒゲはやさねぇ?」 ある日曜日の朝、珍しく久保田より先に起きていた時任の最初の言葉がそれだった。 「…時任?」 久保田は驚いていた。 表情には出ないタイプだが、内心かなり驚いていた。 かわいいコイビトは実はヒゲ好きだったのか、とか。 もしかしてオヤジ好き?とか。 そういや、いつも俺のことオヤジ臭いとかいってるしなぁ、とか。 少しずつ思考がずれていくことも気付かないくらいに混乱していた。 「久保ちゃん!聞いてんのかよ!?」 「あ、うん聞いてる」 どうやら久保田は自分の思考に落ちてしまっていたようだ。 「時任、ヒゲが好きなの?ヒゲフェチ?」 「ちっが〜う!ヒゲが好きなんじゃないっ」 …ヒゲが好きじゃないのに恋人にヒゲを生やして欲しいなんて…。 時任は何を考えているんだろう? 久保田には時任の考えが全く分からなかった。 「じゃ、何で?」 「ヒゲ生やしたら久保ちゃん今よりもっとオヤジ臭くなるじゃん」 「……」 ―――それってなにげに失礼なこと言っているの気付いてる? 「…オヤジ好き?」 やっぱりオヤジ趣味なのかと、複雑な久保田の頬を時任がつねった。 「痛いよ、時任」 「俺は断じてヒゲフェチでも、オヤジ好きでもねぇっ」 わからない。 時任が何を考えているのか、久保田にはさっぱりわからない。 「時任は…何がしたいの?」 「だから俺は久保ちゃんにヒゲを生やして欲しいの!」 「理由は?」 初めからそう訊きなさい久保田さん。 「ヒゲ生やしたら久保ちゃんもてなくなるだろ。そしたら誰も久保ちゃんに近寄らなくなるじゃん」 ………………………………………………………………………………。 「つまりヤキモチ?」 つい久保田が言ってしまった一言に時任が真っ赤になる。 「ちっ…ちっっがーう!」 つまり要約すると、『久保田がもてるのが気に入らない』 その理由が『独占欲』 「可愛いなぁ」 「誰が可愛いんだよ!俺様はかっこいいーの!」 照れ隠しに大声で怒鳴る時任が久保田にはやっぱり可愛く映る。 愛しくてしょうがなくて、久保田は時任の腕を引っ張り、腕の中に引き寄せた。 「わっと、久保ちゃん!あぶねーって」 「時任が望むなら生やしてあげる」 そう言って久保田は時任に深く口付けた。 「っん…っふぁ…」 ――あ。 しかし、ふと何かに気付いたように時任から顔を離した。 「久保ちゃん…?」 力の抜けた時任が不思議そうに久保田を見つめ、どうしたのかを尋ねる。 「あのさぁ、ヒゲ生やすのはいいけど…」 「何?」 「キスするとヒゲが当たって気持ち悪いんじゃないかな、時任が」 結局久保田はヒゲを生やしませんでしたとさι おまけ。 「久保ちゃんのバカっ」 「何で俺なの?」 「久保ちゃんがもモテるのが悪い」 「モテても意味無いよ。俺が好きなのは時任だもん」 「///…」 ---------------------------------- うっわぁ…砂吐きたくなるというか。 むず痒くなってくるというか…。 子憎たらしいssだなぁ。 久保時…執行部の方で。 あんま最近読んでないけれど、愛は廃れてません。 久保時ラブだーーー!! ちなみに、遠夜の受けは時任が基本。 04/02/04 |