variant 時任が怒っている。 原因は、俺みたいなんだけど。 俺にはよくわからない。 今日も今日とて、黒服さん達と鬼ごっこ。 橋の真ん中に追いつめられて。 時任を橋から落とした。 って言っても、そんなに高くない橋だし。 下に段ボールの山があるのを確認してそこに落としたから怪我はさほどないはずで。 俺は銃で黒服を殺してから、段ボールの上に降りた。 時任は、それから怒っている。 俺の前を歩いて、振り向きもせず。 「ときと〜」 時々かける俺の声もまるで無視。 悲しいなぁ。 「何で怒ってるの?」 試しにと名前じゃない言葉を発したら時任がぴたっと止まった。 「ねぇ?こっちむいてよ」 「久保ちゃん、俺が何で怒ってるかわかんないの?」 「え?」 わかんないから、訊いてるんだけど。 時任は俺に背を向けたまま。 それでも、怒っているのは分かる。 身体全体で感情を表しているから。 「俺は、…俺がどんな気持ちだったかわからないの?」 人気がない道路だけれど、誰か来たらここに立っているのは邪魔だろう。 でも、そんなことどうでもいいみたいに時任はずっと立ち止まったまま。 だから俺も立ち止まったまま。 「俺はペットじゃねぇの。守られるべき女の子でもねぇの」 「時任は時任でしょ?ペットとか、女の子とか思ったことないよ」 「なら!何で!?何で一人で終わらすンだよ!?」 時任が、叫んで。 俺の方に振り向く。 ああ、お前は。 それで怒っているの? 「だって、時任が怪我するのイヤだから」 「じゃあ久保ちゃんは怪我してもいいのかよ!?」 俺の所に駆け寄って来て、胸ぐらを掴む時任。 ねぇ。 俺は怪我してもいいの。 死んだとしても、お前が生きてればいいの。 お前が大事だから。 「俺は、大丈夫だから」 笑って、時任の手を外す。 それでも時任は。 「何がだよ!?お前も俺も同じだろ!?」 時任は俺の上着から銃を取り出した。 そして、それを自分に向け。 「お前がやってんのはこーゆー事なんだよ!」 ばんっと大きな音がした。 それは俺が黒服を殺したときの音より大きくて、重くて。 心臓が凍るなんてものじゃなかった。 「わかったかよ…?」 初めから当てるつもりのなかっただろう弾は、時任の髪の毛を少し焼き切り。 どこかに飛んでいった。 俺はそれが。 もし時任に当たっていたらという恐怖で。 動けないでいた。 「もし」が本当だったら。 俺は時任を失っていた。 「俺はいつもこんな思いしてんだよ。いっつも、怖い思いしてんだよ」 時任は銃を持ったまま。 動けないでいる俺に抱きついてきた。 「俺だってお前が心配なんだよっ。頼むから…俺のこと思ってくれるなら自分も大事にしてくれよ…」 「ときと、う…」 その、泣き声のような時任の呟きに、やっと俺の身体か機能し始める。 ぎゅっと、時任を抱きしめて。 「ごめん」 と謝った。 平和な日本では銃の音なんて分からないらしく、警察も来なければ騒ぎにもならなかった。 俺達は黙ったまま、その場をゆっくり離れて。 手を繋いで帰路に着いた。 上着にいつものように隠した銃はいつもより重く。 その重みに任せ、落として帰りたい気すらする。 時任が言っていることの意味は解る、多分。 でも判ってないと思う、俺は。 ただただ、失うことが怖くて。 自分が犠牲になるならそれでいい。 そう、思うのは変わらない。 「ごめんね」 だから、ぽつっと呟いてみる。 お前が身を挺して教えようとしたことは、余計に俺を。 お前を守ろうとするようにする。 俺が持っているモノでもお前の命が危なくなると分かったから。 ごめんね。 俺は、やっぱ。 お前とは違うみたい。 「ごめんね?」 この言葉の意味を。 誤解してほしい。 何について謝っているのか。 知らないでいて欲しい。 いつか、お前のために死ぬという覚悟を。 まだ、知らないでいて。 ------------------------------------------ お久なWA。 書くの何カ月ぶりかしらん。 この久保時って誰かよんでくれているのでしょうか…。 ってか、それ以前に、○○○で来てくれている方々は執行部とか、WAをご存じなのでしょうか…。 割と彼らに愛を注いでます。 金も注いでます。 思い入れは強いのでこれからもちょこちょこ書きたいな。 と、思ってる次第で御座います。 ---------------------- (多分)'03年の7月くらいの後書きです。 もう一個からお引っ越し。って引っ込めてたけど。 ○○○は書いてるともう一個のサイトがばれるので伏せます(汗) うーん…久保時。好き。 04/02/04















back