いっぱい話をした。
昔の話や、こっちにきてからの話や。
これからの話。
思っていたよりもずっと紅麗は、穏やかな人間だった。
醒めた炎の片思い
俺は高校2年生になって。
紅麗は、自分で起こした会社なんかやってて。
って、どんなのか知らないけど。
あんまり会う暇とかないけど、それでも俺から時たま会いに行く。
もちろん、メールで紅麗の許可を取ってからだけど。
「くっれい〜元気か!?」
「兄と呼べ」
「いいじゃん、別に。俺たち似てないし」
「そーゆー問題じゃない」
紅麗の部屋…紅麗が自分で買ったマンションの一室である…のベッドに乱暴に腰掛ける。
ここは紅麗の一番のお気に入りの場所だそうだ。
寝室のくせに、日差しが柔らかく入り。
窓から見える景色は空と遠くの山だけ。
…下を見れば道路やらビルやらあるのだけれど。
つまり、紅麗は超高層マンションの最上階に住んでるってことだ。
金持ちはいいなぁ。
ってそれはおいといて。
「紅麗ー今なにしてるんだ?」
お気に入りの寝室には、紅麗の仕事道具も置いてある。
パソコンだ。
俺はそんなの触らないから何が出来て何をしているのか知らない。
でも、折角俺が遊びに来ているのに。
そればかり弄る紅麗に少しムカツク。
「なー紅麗ー」
「………」
あ、無視する気か。
なら、こっちだって。
「紅麗紅麗紅麗」
「………」
「紅麗ー紅麗ー紅麗ー」
「………」
あ、ちょっと苛ついているだろお前。
手がぴくぴくしてるぜ。
「紅麗紅麗紅麗紅麗!!」
「うるさい!!」
やっとこっち向きやがった紅麗に俺はニパっと笑う。
それに毒気を抜かれたのか、溜め息を吐いて紅麗が俺の横に座る。
紅麗の体重で僅かに沈んだベッド。
ああ、こいつにも体重ってあるんだ…。
言うと、
「私をなんだと思ってる」
と、頭を軽く殴られた。
いや、だって。
「お前、すっげぇ軽そうだし」
実際、身軽に飛んでなかったっけ。大会とかで。
「ソレを言うならお前もだろう」
と、手を取られた。
白い手が俺の腕を軽く握る。
ドキッとした。
「ちょこまか動き回るくせに、筋肉もそこまで付いてないだろう」
「な、何でわかるんだよっ」
「手首が細いし、それに服越しだろうと体格は分かる」
顔が赤くなるのが自分でも感じる。
多分紅麗は今まで見てきた人間とかと比べているんだと思う。
それは経験で、無意識で、でもだからタチが悪い。
なんか全部見られたみたいで、恥ずかしいのに紅麗はなんとも思っていない。
「烈火?」
様子のおかしい俺を紅麗が覗き込む。
「な、なんでもねぇ!それよか、来週の日曜空いてる?」
俺の手を掴んでいた手を振りほどいて、本来の用件を慌てて言った。
まだ赤いであろう顔を少し隠しながら。
「来週?さあ…まだわからんが。何かあるのか?」
よし、話に乗ってくれた。
「あんな、俺ン家の近くに神社があるんだけどよ、来週祭りがあるんだ」
「祭り?冬だぞ今は」
そう、今は真冬…過ぎた頃。
でも今時期にだって祭りはある。
「へへっハダカ祭りって知ってっか?」
寒い中、男が褌一丁で厄よけや祈願のために御輿を担いだりする行事だ。
ハッキリ言って俺は興味ない。
信仰もないし、男の裸を見たって面白くない。
だけど、冬なのに出る屋台とかが好きで毎年ダチと行っている。
それに今年は紅麗を連れて行きたかった。
多分祭りなんて行った事ないんだと思ったから。
少しの時間だけど、何もかも忘れて楽しめることをさせたかった。
「楽しいぜ?人が多くてちょっと辟易するけどその分冬なのに温かいしな」
「仲間とは行かんのか?」
「あ?行かねぇよ。風子は彼氏できたって言ってたし。水鏡は柳と行くだろうし」
「いいのか?」
「何が?」
「佐古下柳は…お前の姫なんだろう?」
つまり、水鏡に任せていいのかってことだ。
紅麗は結構気ぃ遣いだって、最近知った。
まぁ、姫…柳のことは俺がずっと言っていた所為だと思うけど。
「いーんだよ。俺もう火影じゃねぇし。柳は姫じゃねぇの」
ただの花菱烈火と、佐古下柳。
それだけ。
だから水鏡がちょっかい出したって、口出しできねぇし。
「それに、今回はお前と行きてぇの」
「…都合が付くようにどうにかしてみるが…」
「やりぃ!」
がばっと紅麗に抱きついて喜びを体全体で表現してみる。
そうすっと紅麗はよしよしってガキ扱いをするように、俺の頭を撫でる。
多分、他の誰にやられたって嬉しくない(…あ、かあちゃんにやられるのは好きだけど)
でも紅麗は特別。
兄だから?それとも、紅麗だから?
多分どっちもだ。
俺は紅麗が兄で良かったって思ってる。
それから一緒に育たなかったことも。
だって、紅麗の弟だから優しくしてもらえて。
別々に育ったから、こんなに一緒にいることが新鮮で。
こんなに好きだと思えるんだから。
…もちろん、弟としてじゃなくて。
言わないけどなー、紅麗には。
だけど、俺は好き。
守りたいとかじゃなくて、傍にいたい。
ずっとくっついていたい。
そーゆー好き。
「んじゃ、紅麗!来週楽しみにしてるぜ!?」
「ああ」
へへっ来週はデートだぜv
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…え、えへ…。
愛される紅麗ラブ。
んで紅麗に愛される烈火はもっとラブですけども。
ハナッから片思い書いちゃったvv(vvじゃねぇ…)
続かなかったらごめんなさい。
続きそうだけど、書かないかも。
ってか紅烈だとどうしても半分くらいパラレルになってしまいます…。
04/02/04
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