烈火は陽炎によく似ている。
私は母、麗奈によくにている。
しかし、烈火には確実に父の面影がある。
もしあのまま二人、戦国に残されていたら。
確実に烈火は父にそっくりになっていただろう。
顔つきも、性格も何もかも。
私はそれが見たいのかもしれない。
面影
「今日学校で水鏡が…」
「土門とふーこが…」
「姫が…」
知っている名前が次々に飛び出てくる。
嬉しそうに語る今の烈火に、父は見えない。
屈託のない笑いも、大きな声も。
どこかに父の影があるはずなのに、それを見ることが出来ない。
「っん、ふぁ」
そのことに少し苛々して。
何となく次の名前が出てこないウチに烈火の口を自分のそれで塞ぐ。
烈火の内はいつもどこもとても柔らかくて、温かい。
そしてとても気持ちがいい。
「…んん、はっ…」
烈火は突然の、行為にも抵抗しない。
寧ろ従順なまでに応えてくれる。
それをいいことに、烈火をそのまま座っていたソファに押し付ける。
背もたれに頭を乗せた烈火にのし掛かるように、上から口付けを深くして。
腰を自分の方へと引き寄せ。
私の服にしがみついている手を解き、首に回させる。
より増した密着度は愛しさをも増やす。
頬に手を当て、一層激しく烈火の唇を貪った。
暫くそうしていると、烈火が苦しそうに藻掻いたのでようやく唇を離してやる。
はぁ、と烈火が熱い溜め息を漏らす。
「話してる時にするなよなー…」
「ああ」
「返事になってねーよ…」
口では文句を言いながら、しかし嬉しそうに笑う烈火の顎に伝う唾液を舐め取る。
混ざり合ったそれは、それでも烈火の味がした。
「ヤキモチ?」
ふと、烈火が口から出した言葉に。
ピクリと反応してしまった。
「あ、マジ?マジで?」
烈火の嬉々とした表情に、そうか、と納得する。
ああ、私は。
父に烈火が似ているとか。
父のようになった烈火が見たいとか。
全て言い訳だ。
烈火に父を重ねている訳ではなく。
まして父のように慕いたいわけでもなく。
もし、あのまま戦国にいたら。
生き残った二人、二人きりで生きていられたと。
そう、思ったのだ。
「なぁなぁ、紅麗」
「ああ、そうだ。お前が私の前で他人のことを話すから」
そう言うと、烈火は殊の外綺麗に、嬉しそうに笑った。
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…紅麗さん、無理です。
その頃の烈火は赤ん坊なので二人きりでは生きられませよ。
ってか、きっとアナタが殺していたのでは…(禁句)
まぁそんな矛盾は置いておいて。
麗奈さん、漢字違ったらごめんなさい。
コミックが手元に今ないの…兄が。
兄が持ってった!(憎)
04/02/04
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