☆お礼ss紅烈編3☆ |
half brother1 夢を見た。 綺麗な夢だった。 透明で、掴所のない。 だけど、何故か恐い夢だった。 「烈火!起きなさい!」 母ちゃんが、いた。 「んー」 「入学式でしょう、遅刻するわよ」 シャッとカーテンの開く音がして、日光が俺の顔にモロに当って目が覚めた。 けれど、まだ頭はぼーっとしたまま。 「ご飯は出来てるから、着替えたら下に降りてきなさいね」 母ちゃんが部屋を出て行ってから、俺はのろのろと身体を起す。 そうだ、今日は高校の入学式だ。 時計を見ると、まだ7時。 よかった、待ち合わせには十分時間がある。 幼なじみの土門と風子と柳と、同じ高校になって。 一緒に行こうと約束していたのだ。 俺は少しだけ浮かれ気味のまま、新しい制服に袖を通した。 一階に降りてみると、薫とオヤジが既に朝食を摂っていた。 薫、は俺の弟。 異父兄弟だ。 俺のオヤジ、本当の父親は物心が付く前にとおに死んでいる。 だけど、割と直ぐに母ちゃんが再婚した所為で今のオヤジは本当の父親のように思っている。 弟が出来ても、態度は何も変わらないし。 それに性格は薫より俺の方がオヤジにそっくりだと言われるくらい。 だから、俺にとって陰るところの何もない家族だ。 俺は席に着くと、既に用意されていた朝食に箸を付ける。 母ちゃんのご飯は旨い。 コレを日常に食べていると口が肥えるらしく自分の作ったものはもう食えんな、とオヤジが言っていた。 たとえが悪かった気がするが、兎に角旨い。 旨い朝食ってのは、抜く気がおきないからいいものだ。 あっという間にそれを平らげると、俺はさっさと登校の準備をする。 「入学式、オヤジも来ンの?」 「ああ、母さんと行くから居眠りとかするなよ」 「するかも」 軽くオヤジに小突かれたけど、笑って流して俺は家を出た。 --------------------------- 誤字脱字修正…>< |