☆お礼ss紅烈編5☆
half brother3










目的の場所に着くと、俺は木の根本に身体を預けて座った。

上を見上げると、桜の花で一面ピンク色。

風に枝が揺れて、桜の花びらがサラサラと落ちてくる。

俺は、これを見るのが好きだ。

強い風に吹かれて一気に散る、桜吹雪や。

静かに少しずつ花びらが落ちる様。

それを只眺めるのが好きだ。

年に一度の楽しみになっている。

桜が散る情緒とか俺はちっともわからないけれど。

わからなくたって、綺麗なモノを見て心惹かれるのはみんな一緒だ。

いつまでも見ていたくなるのは当たり前だ。



だから、俺は気付かなかった。

こちらへやってくる足音を。









突然強い風が吹く。

花びらが一斉に散っていく。

それに目を奪われる。

風が止み、だけどまだ桜吹雪に魅入られたまま。

声を掛けられるまで。









「そこでなにをしている」





















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次…やっとこさ彼が登場…。
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