☆お 礼ss紅烈編6☆





薄紅色が舞う中に。

桜よりも綺麗なものがあった。













half brother4













美しい、という形容詞がこの男のためにあるのでは。

そう思うくらい、綺麗だった。

無表情なまま、俺を見るその顔が。

いや、存在全てが。

桜のように綺麗で、儚いようなイメージ。

制服から、在校生だとぼんやり頭で思ったが。

そんなことはどうでもいいように思った。

「あ、あんた、誰?」

桜が舞い終わった頃、俺は立ち上がりもせずに問うた。

すると、彼の顔が無表情の侭強ばった気がした。

「なに?」

「貴様は…」

貴様?

その顔に似合わない言葉に、思わず俺は顔を顰める。

一気に、なにかぶちこわされた感じだ。

「んだよ」

「貴様は、ハナビシレッカ?」

「なんで俺の名前知ってんの?」

俺は、こんなヤツしらない。

こんな綺麗な人間、一度見て忘れるわけないと思う。

肌がすっごく白くて、髪の毛が艶やかな漆黒で、まるで白雪姫男バージョンってかんじ。

「貴様は新入生だろう。サボりか」

「おう、悪いか。ってか、あんた誰」

「…入学式、出てないのか」

「寝てた」

ん、入学式に出てたら判るって事か?

あ、そういや風子がなんか言ってた気がする…。

『色白でねぇ、儚げでねぇ…』

とかなんとかな、せいとかいちょー…。

「あ、あんた生徒会長?」

「そうだ」

んーこれは確かに風子が騒ぐはずだ。

面食いだし(人のこと言えないけどな、俺も)

「で、なんであんたが俺の名前知ってんの?」

名札は付けてるけど、下の名前書いてないし。

ちゃんと、さっきコイツ俺のことフルネームで言ったよな。

しかも微妙に驚いてたし。

「なぁなぁ、あんた俺のことしってんの?」

さっきから黙ったまんまの、生徒会長サマ。

んだよ。

「私は森紅麗。貴様の母親に言えば判る」

「かーちゃん?」

こんなびけーと何で知り合いなんだ!!?かーちゃん!

「さっさと教室へ行け。ここはサボるための場所ではない」

そう言うと、モリクレイとかいう生徒会長サマは。

踵を返し、校舎の方へと向かっていった。





この出会いが俺の人生を変えるなど。

この時の俺は欠片も思わずに、彼の後ろ姿をぼんやり眺めていた。























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進んでんのか進んでないのか。
取り敢えず接触編。
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