rose 飛影はいつも通り、その日も幽助の部屋の窓から家宅侵入をしていた。 目的は一つ。 もちろんのこと、幽助である。 いつどんなときに訪れるか。 それは全く持って飛影の気まぐれで。 暇なときだったり忙しいときにちょっと顔出しに来ただけだったり。 機嫌が悪すぎてどうしようもないときだったり、上機嫌でこれまたどうしようもなかったり。 そんな飛影だが。 今日は、上機嫌な日だった。 気分が良いので幽助の顔を見たくなったのだ。 そして幽助の部屋に来たら。 幽助はいなかった。 気配はある。 部屋にいないだけだ。 直ぐに自分の気配に気付いて来るだろう。 そう思って飛影は窓に腰掛けた。 案の定、幽助は直ぐに戻ってきた。 「よ、飛影」 幽助はジーンズ一枚で、タオルを首に掛けていた。 そしていつもよりも、顔も身体もほんのり赤かった。 いかにも、“風呂上がり”というスタイルだ。 しかし、それだけでない何かを飛影は嗅ぎつけた。 「香水をつける趣味でもできたか」 飛影は眉を顰めて言う。 幽助から漂う甘い香りに気付いたのだ。 風呂上がりなのに。 「や、入浴剤」 「入浴剤?」 「知らねぇの?」 「知らん」 香水は知ってるのに、と幽助は笑った。 「風呂に入れる、香りとか色とかついた…粉だったり液体だったり、そんなもん」 「なんの為だ」 「さぁ」 別に俺、普段から入れる趣味ないし。 幽助はそう言った。 それに、またイヤな顔をした飛影が幽助に近付く。 幽助のむき出しの肌に顔を近付けて、匂った。 「…花の匂いだな」 「わかる?これさー蔵馬がくれたんだよ。バラの入浴剤」 その幽助の言葉に、飛影がぴくりと反応する。 蔵馬の名前が気に入らなかったらしい。 幽助はそれに気付いたのに、続ける。 「肌にいいんだって。つるつる?」 「知らん」 言いながら飛影は幽助の肩口に噛みついた。 きつく、甘く。 「っつ」 きつく咬んでは、舐め。 甘咬みしては、吸った。 「飛影、」 「気に入らん」 「なにが?」 「…全てだ」 「全部?」 「全部だ」 そう呟いた、小さな男の頭を抱いて。 幽助はウットリと目を閉じた。 ---------------------- 久しぶりのssです。 飛幽。 うーむ。 幽助は飛影に嫉妬させて喜んでるんです。 愛を感じるんです。それで。 ってうか飛影は香水を知っているのか。 そして入浴剤を知らないのか。 どっちも魔界にもありそうなんだけど。 ま。都合の良い感じにしてみました。











06/02/01




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