wood 「紅麗、紅麗っ俺ん家来いよ!」 それはとある日曜日。 烈火は息を切らして紅麗を誘いに来た。 自宅の、新しい風呂に。 烈火の家業は花火師で、それはそれは暑い中作業をしなければならない。 当然汗まみれになる。 よって、花菱家の風呂は重要な役割を持っている。 それをこの度、リフォームしたのだ。 「で、檜風呂か」 「そ、良い匂いすんの」 疲れなんて吹っ飛ぶぜ!と、烈火は言いながら服を脱ぐ。 紅麗はその言葉に、ああと返した。 「先に入るぜ」 ガラ、と音を立てて烈火が脱衣所から風呂場を仕切るガラス戸を開け湯気の中に消える。 その後ろ姿を見ながら、紅麗は気をつかわせてしまったのだと気付く。 最近、仕事詰めで会うこともままならなく、昨日一息ついた所だった。 音遠か雷覇あたりが、それを烈火に連絡でもしたのだろう。 紅麗は、自分は部下に恵まれているなと心の内でそっと感謝した。 「…すごい、大きさだな」 「だろ〜?二人一緒に入っても余るくらいだぜ」 浴室からは、昔かいだことのあるような香りがした。 懐かしい香りだった。 遙か昔の、あの場所にもこれがあったのだろうか、と紅麗はぼんやり思う。 「背中を流そう、烈火」 「おう、んじゃ俺も流してやる!」 懐かしい香りと、愛しい弟と、今は全てに恵まれて。 紅麗は、なんと幸せなのだろうと思う。 「烈火」 「ん?」 湯の浸りながら、烈火を背後から抱きしめる。 「今度、旅行に行こう」 「マジ!?」 「ああ。どこがいいだろうか。日本がいいか、海外がいいか…」 「どこでもいいぜ?紅麗と行くなら」 「そうか」 「おう」 湯に、浸りながら紅麗は烈火を強く抱きしめる。 味わったことのない温かさが、心まで染みる。 ある、寒い日曜日の午後だった。 ---------------------- えー…入浴剤を使ってないのは、WOODの入浴剤が臭かったからです。 好みでなかったので書けませんでした。 すみません。 でも、結果的に満足です。 紅烈には入浴剤があまり似合わない気がするので。 ところで、烈火の自宅って結構森の中のような気がするのですが…。 コミックが手元にないので確認できず、中途半端になりました。 すみませんー…><





07/03/17





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