一緒にいると安らぐんだ











「烈火、起きろ」

心地よい声に烈火が目を覚ますと、カーテンのしていない窓の外は暗くなり始めていた。
元々曇りの日だった所為か、余計に暗い気がする。

「そろそろ帰らないと遅くなるぞ」
「んー…今日は泊まる」
「駄目だ、この間の週末も泊まったばかりだろう?」

烈火が未成年の為か、紅麗はきちんと烈火を自宅に送ろうとする。
長い休みや、紅麗の仕事が一息ついた時は側にいてもいいと言うのだけれど、烈火もまだ高校生で、休み明けには学校がある。
自分がそのような、普通の生活を送れなかったからか、紅麗は烈火に学校を休ませたりはしないし、成績にだって親のように五月蠅かった。

渋々、烈火が起きあがる。
ゆっくりと服を着ることで少しでも紅麗と一緒に居られるように、と、帰りたくないという意思表示をする烈火に、紅麗がココアを差し出した。

「今日は寒いからな」
「ここはあったかいけど」

いつも適温に保たれている紅麗の部屋はそれだけで居心地が良い。
それだけでなく、ここには紅麗もいるのだから、帰りたくないと烈火が思うのは当然で。
けれど、自分が我が儘を言えば紅麗が困ると言うことも烈火は知っている。
紅麗がどれくらい陽炎に気を遣っているのかも。
陽炎にとって烈火は桜火の忘れ形見なのだ、と以前紅麗に言われたことを烈火は思いだした。

服を着込み、窓を見るとちらほらと白いものが舞っていた。

「雪…」

烈火の視線を追って窓を見た紅麗が雪だ、と言う。
積もる程ではないだろうし、この雪で車の運転ができなくなることもないだろう。
それでも烈火は紅麗を見ずに、もう少しだけと呟いた。













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丁度雪が降ってまして。
雪は閉鎖的で(紅烈的に)ステキですね。
拍手で使用していました。 08/01/20

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