弟の言い分












なんで紅麗を兄貴って呼ばないかって?お前だって呼んでないじゃん。え?お前のことはどうでもいいの?
んーだって、俺一緒に育ってないしなー。16年間一人っ子だと思ってたし。
あっちは俺のこと知ってただろうけど、俺は赤ん坊だったから全然知らなかったし。
その上、初っ端から生死を別つ闘いしたんだぜ?普通の兄弟はんな経験ねぇだろ。多分。
今から兄弟だって思えって?無理だろーだって俺と紅麗全然似てないもん。いや、兄弟だって認識はしてるけどな?
俺、顔は一応母ちゃん似だし、紅麗もそうなんだろ?オヤジには似てなかったもんな。
性格も紅麗はオヤジにはほど遠いからお袋さん似だろ?全然似てるトコないからさ、兄弟だーって実感する所あんまりないだろ。
それに紅麗だってキショいって思うって。いきなり兄貴って言われても。
え、嬉しく思うって…そりゃさ、お前が紅麗兄ちゃんって呼んでやれよ…今更無理?ホラなー俺と一緒一緒。
昔のこと?俺は…俺にはどうしようもなかったって逃げるわけにはいかないけど。
紅麗がもういいって言ってるから、紅麗が拘らないんだったら俺も拘らないぞ。
それにさー兄弟でいたいとかじゃねぇしさぁ。
んー?まだお前にはわかんねぇよ中学生。怒るな怒るなー。お前もいつかわかるって。
嫌い?んな訳ねぇだろーだったら遊びに行ってないし。
友達?無理だって、んなのありえねぇ。
だからな、まぁアレだ。兄弟と思えないわけじゃないけど、兄弟でいたいわけでもないんだよ。
わかんねぇって?紅麗に訊いてみろよ。答えてくれるかわかんねぇけどな。
ん?紅麗も知ってるのかって?あーんーさあどうだろうなー。はぐらかしてないって、あいつのほうが説明上手いだろ?
きっと分かりやすく説明してくれるぜ。





「って言ってた」
「……そうか」
「ねー紅麗」
「なんだ」
「呼んで欲しいなら言えば?」
「…呼んで欲しいわけではない」
「ふーん」
「で、紅麗も兄弟でいたくないの?」
「関係性はどうでもいい」
「へぇ?なんで」
「人の関係というものは端から見て理解される形より本人達がそこにいるということを望むことが重要であり、それがあれば成り立つのだ。言わば需要と供給の一致という奴だ。それは兄弟であろうとなかろうとかわらない。ただ、兄弟でなければ歩み寄れなかったのだろうと言うことはあるが、それが全てではない。わかるか?」
「……仲良くなりたいってこと?」
「仲は良いと思うが」
「…そうだよね」
「そうだ」


(訳わかんないトコそっくりじゃん…これが兄弟っていうのかなー…)


















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間に挟まれてる小金井。
07/08/30
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