溶け出す春
休日、紅麗のマンションに行くと。
甘くて良い匂いがした。
桜餅があった。
その横には、緑茶があった。
中にピンク色のもの入っていた。
「何コレ?」
「桜茶、桜の花びらを塩漬けにしたものだ」
「へー」
「普通は湯を注ぐだけなんだが、茶にしたほうが好みでな」
「へー」
促されて、紅麗の横に座った。
「春、なんだな」
一口桜餅を食べる。
甘くて、桜の味がした。
こしあんと桜の味がした。
それから、桜茶を飲む。
口の中で桜が溶けていく感じがした。
春を感じた。
「春、っていいな」
「そうだな」
春が来た。
紅麗と過ごしていると、季節が穏やかに流れていく。
穏やかに、季節が身体に染みこんでいく。
「今度は苺も食べたい」
「じゃあ、苺大福を買おう」
ああ、春が来た。
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桜茶はお茶に入れた方が好きです…なんとなく。
2007/04/16
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