陽射し
「藍染隊長は暑くないんですか?」
「暑いよ」
真夏日のような陽射しが差しこむ道中、顔色一つ変わらず、汗の一滴も流さない藍染に恋次尋ねた。
本当に刺されているような暑さに恋次は参ってしまって、歩くのも辛いくらいだ。
それなのに藍染は平気な顔をして暑い、などという。
「鬼道とか?」
「まぁ、色々勉強しなさい」
「ひでぇ」
「僕はあまり体力がないからね、こういう類のモノばかり最初に覚えたんだよ」
「俺より体力あるじゃないっすか」
「隊長だからね」
しれっとした顔で言う藍染に、恋次はふてくされるが思いついたように藍染にくっついてみた。
「……涼しくない」
「…僕は暑いと言っただろう?」
恋次は鬼道かなにかで、藍染の身体が、若しくはその周りが冷たくなっているのでは、と考えたのだ。
しかし、全くそんなことはなく汗をかいていない藍染の肌はやっぱり暑かった。
直ぐに離れると、恋次は面白くなさそうに溜め息を吐く。
「あ、朝顔」
「昼顔じゃない?」
「あー…微妙な時間帯っすね」
「どっちだろうね」
よくわからないっす、と恋次は困った顔をする。
色の濃さや、花の大きさから藍染は昼顔だろうと思ったけれど。
悩んでじっと見ている恋次が可愛いのでいわないことにした。
朝顔か昼顔かわからない、それを通り過ぎたあと。
恋次は楽しそうに、汗を手の甲で拭いながら藍染を見る。
「店、遠いっすね」
「夏の道のりは特に遠くなるね」
「でも、楽しみです」
「僕もだよ」
店まであと三十分。
老舗のかき氷まで、三十分。
暑くて手は繋げないけれど、滅多にない二人きりの時間。
暑くても、二人には楽しい時間だった。
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暑さに参る恋次と平気な藍染サマの対比が書きたかったのですが。
なんか楽しそうになってしまいました。
でも楽しそうな恋次が好きだっ(いっつも辛そうなので)
2007/07/05
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