紅麗の部屋の机に、金属の鉤型のものが置いてあった。
何か細工が施してあるそれを手に取ってみてみると、龍だった。
曲がった先端に龍…これは多分西洋のドラゴンだと思うんだけど、がかたどってあって、すこし反ったようになっている持ち手(だと思うんだけど)に龍の体がクネクネとうねっている。

なんだろう。
かっこいい。
持ち手から伝わるひんやりとした感触が心地良いし。

用途がよく分からないまま眺めていると、机の上に革の手帳ケースのようなものを発見し、開けてみる。
そこにはこの龍の金属とほぼ同じ形をした違う細工のものが沢山入っていた。

一つ一つ手に取ると、星と月だったり、猫、犬、天使や花、蝶とか色々な細工が本当に細かくあってみとれる程綺麗だった。
でも、この龍が一番格好いい。









「紅麗、これなに?」

紅麗が帰って来るなり、その革のケースごと紅麗に渡した。
紅麗は少し驚いたけれど、ソファに座って上着を脱いでからそのケースを開ける。

「な、な、それ何に使うんだ?」
「しおり」
「しおりって……え、だってそれ金属じゃん」

紅麗は微笑んで、机の上にあった雑誌を一冊手に取るとそれを挟んで、本の背に龍の顔の部分を引っかけた。
ああ、ホントにしおりだった……。

「……なんか、もったいない」
「そうか?読んでる本によって世界観に合うしおりにすると楽しいぞ。お前も漫画に使うか?」

その言葉に、少し欲しかったそれを手に取る。
龍の細工は本当に、かっこいい。
でも。

「…漫画はしおりなんていらないだろ」
「…そうなのか?」
「普通は」

穴がないから紐を通してペンダント、というわけにもいかないし。
そもそも、その形はペンダントに向いていない。
っていうか、アクセサリーは邪魔…かもしれないし。

「でも、欲しいんだろ」
「うっ」
「教科書に挟めば勉強も少しはやる気になるんじゃないか?」

紅麗の言葉にピン、と来た。
別に勉強をするつもりはなかったのだけれど。
教科書に挟んでおけばなくさないだろうし、眺めているだけで楽しい。



そーゆーわけで、俺は人生初、myしおりを手に入れた。














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龍のしおりは実在します。
めっさ欲しいんですが、色々ありすぎてどれも欲しくて結局買えずじまい…。
ちょっと男の子らしい所を書いてみたいなぁ……とかとか思ったのでドラゴン好きな烈火君とかで。
07/12/05

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