こたつ
紅麗宅にはマンションながらリビングと和室が別にある。
殆ど他人が訪れることがないため、和室は閑散としていたのだが烈火の希望でこたつが入ることになった。
「しあわせ」
「行儀が悪いぞ」
こたつの中まで潜り顔だけ布団から出している烈火に紅麗は溜め息を吐く。
リビングなら床暖房やエアコンがあるというのに、烈火がこたつを好むのはこうやって潜り込むことができるからだった。
更にそこでテレビを見たいと言いだしたので、リビングよりは小さめのテレビが置かれ、今は駅伝を映している。
横長のテーブルをこたつにしたため、烈火の身長でも足を伸ばして悠々と寛げ、烈火はご満悦の様子だ。
「紅麗、みかん」
「ちゃんと起きて食べなさい」
流石に寝ころびながらものを食べることは許しを得られなかったので、渋々と烈火は身体を起こす。
けれど、こたつの上にみかんが山盛りになった籠と、まだ湯気の立つ温かい茶が入った湯飲みが置いてあり、所帯じみたそれに烈火は嬉しくなった。
こうやって一つ一つ紅麗が自分に近付いてくることが、嬉しくて堪らない。
「あんまり横着するとこたつを片付けるぞ」
「え、やだ」
少し怒ってしまったらしい紅麗に、烈火はどうしたらこたつの良さが伝わるのかを考えた。
みかんを剥いて口に入れた所で、そうだと言う。
「ん?」
烈火は起ち上がるとみかんと湯飲みを残したまま紅麗の隣に移動した。
横長なテーブルなので、縦は狭く、必然的にぴったりと寄り添うことになる。
訝しげな紅麗を無理矢理押し倒して、烈火はその懐へ忍び込んだ。
「昼寝しよーぜ」
「このままか?」
「そう。こたつで昼寝って気持ちいいんだぜ」
「…そうか」
冬のこたつでの昼寝は醍醐味だ、と烈火がいい、紅麗はまたそうか、とだけ呟いて烈火を抱きしめ目を瞑った。
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のんびり紅烈で。
自分の家のこたつではゆっくりできないので烈火は紅麗のおうちのが好き。
07/12/06
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