愛しているの、と囁くの。 愛して欲しいのと、抱きつくの。 繋ぎ止めていて欲しいと。 指を絡ませる シーツの波で泳ぐのを止めた身体は、ただ気怠くて。 髪の毛の間を通り抜ける指の心地よさに眠気を誘う。 この、白くて細くて綺麗な指が。 俺のモノだと、誰が信じようか。 烈火はそうぼんやり考える。 それは、まるで。 まるで真珠のよう。 まるでダイヤのよう。 まるで月の欠片のよう。 手の届かない、綺麗なマボロシのよう。 愛してると囁く声は溶けて消えるから。 せめてその綺麗な指には触れておきたくて。 そっと、頭を撫でる紅麗の指に自分の指を絡ませる。 「烈火?」 紅麗はてっきり、烈火はとっくに眠っているものだと思っていたので一瞬驚いて名前を呼んだ。 けれど、烈火は返事をせずに、絡めた指をきゅっと握る。 烈火も半分意識が飛んでいるから、深く考えての行為ではない。 ただ、その分力が籠もっていて。 そのまま眠ってしまった烈火は朝まで紅麗の指を離さなかった。 まるで、大海の中で一本の藁を必死で掴む溺れた人のように。 ------------------------------------ 兄様を褒めすぎでしょうか。 でも、そんな感じ。 白くて半透明で綺麗だけど、掴めないの。 儚いって感じ? 対して烈火は。 赤くてハッキリした色で輝いてて、しっかりしてる。 紅麗から見た烈火を今度書きたいです。

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