ラインを辿る
なでなでなで。
寝ている四月一日の頬を百目鬼が撫でる。
そこは桜の咲く、裏庭で。
四月一日は急に訪れた眠気に身をゆだねていた。
それを発見した百目鬼は、まるで何かを払うように。
若しくは何かを送り込むように。
丹念に頬を撫でていた。
そんな異常な光景は数分続く。
四月一日は目を覚ました。
うわっと言って飛び起きる。
それを見た百目鬼はもう一度頬を一撫でして。
桜なんかの下で寝るな、と言った。
四月一日には意味が分からなかったが、百目鬼が真剣な顔なので頷いた。
最初は無表情に見えた百目鬼の顔が。
段々と喜怒哀楽の区別が付くようになっている自分に、四月一日は驚いた。
それは微妙な変化でしかないけれど、確実な変化で。
じゃあ、と言って去っていった百目鬼の後ろ姿を見ながら。
四月一日は自分の頬を撫でた。
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やっと騒がない四月一日が書けた…。
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