押し倒す
敵わない。
いつも、見透かされる。
子供だって思っていたのに。
いや、子供だからか。
自分の上に乗って、寝息をかく自分と同じように堅めの髪の毛を撫でる。
撫でながら、顔つきも、性格も、炎の色も。
殆ど似ていない、私たちの数少ない共通点だったな、と思った。
「とうっ」
ソファに座って休憩していたら。
ドアを勢いよく開けて。
烈火がそんな掛声と共に、私に乗りかかってきた。
「……烈火?」
少し怒った声を出しても、烈火は悪びれる様子もなく。
「おやすみ」
と、私をソファに沈めた。
「烈火、寝るならどきなさい」
「おやすみ、紅麗」
「烈火」
「寝ないで仕事なんてできねぇだろーが」
そんな言葉で、烈火は私を黙らせた。
ああ、そうだ。
いつも、敵わない。
子供の本能か。
血のつながり故か。
…それとも、烈火だからか。
私はいつも、烈火に敵わない。
もう一度だけ。
烈火の髪の毛を撫でて、目を瞑った。
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烈火が押し倒したのが書きたかったのです。
とうって飛びか掛かって。
ソファでお昼寝。
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