烈火が紅麗に告白し、受け入れられてから数ヶ月経った。
紅麗は烈火にとても優しかったし、手を伸ばせば受け止めてくれた。
けれど、自分からは動こうとはしなかった。
虚言
最初はなんでも嬉しかったけれど。
次第に物足りなくなってきた。
紅麗から抱きしめて欲しい。
紅麗からキスして欲しい。
だけど、してくれない。
どうしようか日々悩んでいたとき、あいつが。
俺を抱きしめた。
香水でもしているのか、甘酸っぱい香りは。
正直、好きにはなれなかったけれど。
抱きしめられる感じはとても心地よくて。
その後、誰もいない放課後によく抱きしめて貰っている。
それだけだけど。
ある日、あいつの香りを身に纏ったまま紅麗の所に行った。
別に俺はなんとも思っていなくて。
だって、どうせ紅麗は気付かないだろうからと。
いつも通りきゅっと抱きついて、いた。
そうしたら、紅麗は俺を心持ち離して、鋭い目を俺に向けた。
「紅麗?」
「誰の、香水だ。お前はつけないだろう」
「……」
「それは、移り香だろう」
多分、それは歓喜。
紅麗が、俺をちゃんと知っていた。
ちゃんと、俺を、感じていた。
俺が喜びに動けないでいると、紅麗はどう解釈したのか。
乱暴に俺を引き寄せると。
「…その香りの持ち主が誰であろうが、許さん」
囁いて、俺を抱いた。
初めてだった。
紅麗から求められたのは、これが最初だった。
『許さない』
その言葉の対象が、俺なのか香りの持ち主なのかはわからないけれど。
紅麗は、嫉妬したのだと。
俺は痛みの中でそう思った。
それから時々俺はあいつの香りを付けて紅麗の元に行く。
あいつとは何もしていない。
ただ、移り香を貰うために抱きしめられているだけ。
あいつが、俺を好きだと言うことを利用して。
ただ、紅麗が嫉妬して俺を抱くために。
誰もいない教室で、俺はあいつを待つ。
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拍手でリクしてくださった方へ捧げます。
えっと、えっと…遅くなった上にあんま浮気っぽくないです…、すみません。
もっと色々考えてたんですが、ちゅー以上はやっぱ水鏡にはやらせん!!
との、醜い嫉妬心が…(O.O;)(o。o;)
リク、ありがとうございました。
本当に遅くなってすみませんでした。
05/07/26
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