目覚め
目覚めたくなかった。
血の臭いも、死臭もなく、何故か薔薇の匂いがした。
眩しい光を感じた。
ああ、焼け死ぬのか。
それならそれでいいな。
憎い存在になるよりは。
そう思っても、俺は死ななかった。
そっと、目を開ける。
太陽が、見えた。
眩しかった。
「あれ?」
ヴァンパイアって、太陽の光で焼け死ぬんじゃ…なかったっけ?
思わず俺は自分の両手を見る。
健康的な肌色だ。
血色も良い。
なんだ、俺はまだ人間だ。
ほ、と息を吐いた。
よかった。
でも、ここはどこだろう。
白くてふわふわのベッドだ。
窓から見える外は、木々しかない。
随分高い所にある部屋だ。
ここは、どこだ。
その問いに答えるかのように、と重い扉が開いたような音がした。
心臓がぎくり、となった。
ゆっくりと後ろを振り向くと。
昨日俺を殺したヤツがいた。
ああ、やっぱり俺は死んでいた。
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07/04/28
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